宮下武則師範
指導方針について
空手にはいくつかの流派があります。私が学び、また、皆様に伝えているのは那覇手(剛柔流)です。
沖縄那覇を発祥とする那覇手の流れを汲む剛柔流は、「気息」という腹式呼吸法が取り入れられていますので、体を鍛えるだけでなく美容と健康にも効果があります。
また、格闘技としての特色としては、突き、蹴りなどの打撃技だけでなく、投げ技、関節技なども重視し、どちらかと言えば接近戦向きの空手で、腕などをつかまれた際の返し技も豊富で、女性の護身術としても最適だと思います。
沖縄では、那覇以外にも首里や泊でもそれぞれに空手が発展し、特に首里手は、日本本土でも松濤館流、糸東流などとして受け継がれています。
これらの流派は、どちらかと言えば突き、蹴りなどの打撃技が中心で、遠い間合いから一気に攻め込んで一撃で相手を倒す空手らしい空手かもしれません。
一方、最近は空手に限らず打撃系の格闘技から派生したフルコンタクト系の武道も発達しています。
この教室にもそのような格闘技の経験者も加わってくれるようになっています。
その背景としては、うちの流派の組手が「寸止め」でないことに加え、つかんでの投げや関節技なども含め、できる限り反則技を設けないようにしていることがあるかもしれません(もちろん顔面への突きなどの危険な技については、上段突きは当てずに顔の横を突き抜く、猿臂や頭突きは寸止めするなど、一定のルールは設けています。)。
この教室では、那覇手を中心に、沖縄で発達した本来の空手を意識して指導していますが、私としては、どの流派もそれぞれに良いところがあると思っていますので、初心者はもちろんのこと、様々な流派を学んでこられた経験者の方も大歓迎です。
また、格闘技としての空手を追及するだけでなく、武道としての空手道を大切にし、スポーツ化されない武道、礼のある武道を志しています。
単に技の優劣を競うのではなく、武道の修行を通じて自ら、そしてお互いの人間形成を促すことが重要と考えます。
試合や稽古で勝つことはすばらしいことですが、相手が試合をしてくれないことには勝つことはおろか強くなることも叶いません。
相手をとことん痛めつけるのではなく、試合をしてくれる相手に感謝し、礼を持って対峙することが大切で、それによってお互いに相手を認め合うことができるようにしたいと思っています(強い弱いよりも、何とか一矢報いようと向かっていく気持ちを評価したい)。
子供達には時間をかけないと伝わりにくいのですが、この方針は変えずに接していき、組手が苦手な子供ほど長い期間続けて研修することで、強くなってもらうとともに精神的にも成長してもらいたいと考えています。
空手は、短期間で強くなることよりも、継続することでいろいろなことがみえてくると思っています。
私としては、小学生からご婦人まで、研修者の方々がそれぞれの体力に応じてじっくりと心身を鍛えることができるよう心がけていきます。
私はすでに還暦を過ぎていますが、これまでの人生において、道場以外で空手を使ったことはありません。
けれども、空手を通じて培われた何かに日々救われてきたと確信しています。
これからの激動の世界で堂々と生き抜いていく、知力、体力、人間力をつけんとする若者はもちろん、楽しく空手を学んでみたい方、健康づくりに役立てたい方も大歓迎です。
共に鍛錬しましょう。
道場沿岸
この道場の正式名称は、全日本古流剛柔空手道連盟健武館丸亀道場といいます。
古流剛柔空手道は、平成26年に亡くなられた植村和永宗家が香川県木田郡三木町の健武館道場で興されたもので、現在は香川県と徳島県を中心に大阪府、奈良県、滋賀県などにも道場が広がっています(香川県内にも6つの道場があります)。
香川大学、徳島大学、徳島文理大学、四国大学の空手道部でも取り組まれています。
丸亀道場は、植村宗家の為人に惚れ込んだ丸亀市内の保護者が子供たちに古流剛柔空手を学ばせるために開いたのが始まりで、半世紀近くの歴史があります。
私も香川大学を卒業直後から関わらせてもらっており、今年で40年目になります。
初めのころは、指導者を大学空手道部の卒業生や健武館本部道場から招いていたのですが、現在では、丸亀道場で研修して段位を取得した人たちが中心となってくれています。