古流剛柔空手道連盟香川県支部の合同稽古に参加しました

8月6日に開催された古流剛柔空手道連盟香川県支部の合同稽古に参加しました。

これまでも、香川県内のいくつかの道場が集まっての合同稽古は行われたことがあったのですが、今回初めて香川県支部が主催して県内全道場を対象とした合同稽古が8月6日に高松市総合体育館の第二武道場で開催されました。

 県内にある同門の道場は、本部道場(三木町)、高松道場、紫雲道場、丸亀道場、丸亀南道場、銭形道場に加え香川大学空手道部の7つです。今回の合同稽古には参加人数の多少こそありますが、これらすべての道場が参加しました。丸亀道場からも子供9名大人10名が参加しました。

準備運動と基本稽古

 まずは全員で円陣を組んでの準備運動と基本稽古です。号令は高松道場所属で香川大学空手道部助監督も兼任する鈴木助監督が執りました(若手に実績を積ませようという意図もあり、各道場から若手の指導者を選んでの抜擢となりました)。

 号令を執る側も初めての経験ということもあり、休憩や給水も無いまま次々と技を繰り出したので高齢者にはかなり過酷な稽古でもありました。

型の稽古

 本部道場の土畑さんの指揮の下、全員でサンチン、テンショー、ゲキサイ第一、ゲキサイ第二、サイファーを行いました。

 その後、私の方から型の演武においては「緩急」、「伸縮」、「強弱」の3点を心掛けなければならないことを説明しました。次に、子供達や初心者についてはこれらのほかに「演武線(動く方向)」、「立ち方」、「顔の向き(演武線と同じとは限らない)」をしっかりとマスターすることが大切であることを説明した後、香川大学のヒロキ君にゲキサイ第一とセイインチンをこれらの点に注意して行ってもらいました。

 ヒロキ君は糸東流の経験者で立ち方がしっかりとしており技にも切れがあることから、子供たちだけでなく大人も感心して見入っていました。

 最後に、土畑さんの号令で全員が好きな型を一つ行って型の稽古を終わりました。

 

組手と審判員の研修

 最後は組手です。今回は審判員の研修も兼ねて行うことにしていたので、主審1名と副審4名を立て、一組ずつ行いました。

 審判員の研修を担当したのは、これまで大会で審判委員長を経験している紫雲道場の宮武教士です。まず、現在の審判員と審判候補者を集め、特に中段への突き蹴りの判定基準について説明(持論)した後、子供どうしの試合を裁きあいました。時には試合を中断して、今の攻撃を「技あり」としたのは何故か、また、「技あり」としなかった理由は何か、など質疑をしながらの試合となりました。

 子供たちにとってはやりにくいのかなとも思いましたが、見ている限りでは気にする様子もなく、一生懸命に相手に対して突きや蹴りを出していました。

 

 そうこうしているうちに、審判研修をしながら組手をしているコートとは別にもう一つのコートが空いていたことから、若手を中心に思い思いの組み合わせで組手が始まりました。やがてその流れは大学生や年長者にも及び、見どころのある中学生を呼び出して組手の指南も行われ、最後には60歳代後半の猛者も登場する有様でした。

 

コロナ禍にあって組手を始め思うような稽古ができない状態が長く続いたからかもしれませんが、集まったみんなの組手に対する思いとその思いを的確に判定しようとする思いをひしひしと感じました。

 植村和永宗家が始められた古流剛柔空手道は、宮城長順先生の流れを汲む沖縄剛柔流を学びつつ、武士道そのものの実践を通じて、研修者一人一人の精神の昴揚と成熟を促すものです。そのため、組手は常に相手との真剣勝負であらねばなりませんが、対戦相手への敬意と感謝という礼節を尊ぶことも忘れてはなりません。

 古流剛柔空手道は寸止め空手ではありません。我々現在の指導者が現役の頃は、相手に致命的なダメージを与えることがないよう互いに配慮はありましたが、組手において怪我は日常でした。それくらい武士道精神を尊び全身全霊を賭けて対峙してきたと思います。しかし、現代においては、それぞれの研修者には日常生活や勉学の場があり、現代においてそれは常に空手よりも優先されるべきものです。そのため、組手において叩きのめされた者が日常に支障を来すような事態にならないよう配慮することも忘れてはならないのです。真剣勝負と安全面への配慮、その難しさに真摯に向き合おうとする意図がくみ取れる光景でもありました。

 

文責:宮下武則